cyvate

会員ログイン

デジタル砂漠への水

デジタル砂漠への水

火星探査機のようなWeb?

NASAの火星探査機は、地球との通信が切れていても、ひとりで動き続けるように設計されています。なぜなら、通信が届くのに数分~数十分かかるからです。そんな過酷な環境でも、ちゃんと仕事を続ける――これが火星探査機のすごいところです。

実は、私たちがふだん使っているWebにも、似たような仕組みがあります。
それがPWA(プログレッシブ・ウェブ・アプリ)という技術です。

PWAは、電波がない場所でもアプリのように動くWebサイト。アプリのようにスマホのホーム画面に追加できたり、オフラインでもページが見られたりと、Webとアプリの「いいとこ取り」をしています。

ネットが不安定でも、止まらない

例えば、通勤中の電車内や地下、山の中や海外――
こういった場所では、ネットが弱くてページが開かなかったり、途中で切れたりすることがよくあります。
でもPWAなら、事前にページの内容をスマホに保存しておくことができるので、ネットが切れても使い続けられます。

この仕組みを支えているのが「Service Worker(サービスワーカー)」という技術です。これは、裏で動く小さなプログラムで、ページを表示したときにデータをスマホに保存しておいてくれるもの。
たとえるなら「水をためておくタンク」のような役割です。

つまり、ネットという“水”が出なくなっても、PWAには“貯水タンク”があるので安心。これが、PWAが「デジタル砂漠への水」と呼ばれるゆえんです。

使う人が増えている理由

実際、PWAを導入した企業では、ユーザーの満足度が大きくアップしています。
Googleの調査によると、PWAを使っているサイトでは、ユーザーの滞在時間や再訪率が平均36%も増えたそうです。

なぜか?
それは「早くて」「軽くて」「ストレスが少ない」からです。

たとえば、ふつうのWebページは表示に時間がかかることがありますが、PWAはほとんど一瞬で開きます。また、スマホのホーム画面に追加できるので、アプリのようにサクッとアクセスできます。
しかも、アプリをインストールする必要がないので、容量の心配もいりません。

PWAは、もう「特別な技術」じゃない

これまでは、PWAは「一部の企業が使う特別な技術」と思われていました。
でも今では、誰もがWebを快適に使うために必要な“あたりまえの仕組み”になりつつあります。

特に、開発途上国のようにネット環境が不安定な地域では、PWAは情報格差を埋めるカギになります。
「すべての人に届くWebをつくる」ことが、PWAの真の目的です。

つまり、PWAは“あると便利”なオプションではなく、「どんな場所でも使えるWebをつくるための必須条件」になってきているのです。

PWAは、未来のWebの“当たり前”になります。
火星探査機が過酷な環境でも働き続けるように、PWAも、あなたのスマホで、地下でも山でも、ちゃんと動き続けてくれるのです。

ベイトくん

Cyvateブログ

Webマーケティング会社Cyvateが発信する、多角的な視点からビジネスを考えるブログです。
AIやデータ活用の最新トレンドを踏まえながら、日々の施策や戦略づくりに役立つヒントを毎週お届けします。
専門性を大切にしながらも親しみやすく、ユニークな切り口の中に確かな学びがある。そんな“知識と遊び心が共存する読み物”としてお楽しみください。

琥珀のなかのまばたき

前の記事

琥珀のなかのまばたき

次の記事

分散する知性

分散する知性