クッキー依存脱却ーWEBマーケティング分析の新常識ー

記事をご覧いただき、ありがとうございます。
Cyvate代表取締役の松本慎太郎です。
今回は、
「数字が合わない」「サンプルが足りない」——
クッキーに依存した分析の限界を感じているマーケターにこそ、知ってほしい話があります。
「データはあるのに、確信が持てない」——
そんなもどかしさを抱えている方へ、Cyvateが見つけた“新しい答え”をお伝えします。
クッキーとは何か? そして、なぜ問題になっているのか
クッキーとは、WEB上の“足跡”のようなものです。
サイトを訪れたユーザーの行動を一時的に保存し、「どこから来て」「どんなページを見たのか」を把握することができます。

たとえば、AというユーザーがGoogle検索→「WEBマーケティング入門」ページ→「中級編」ページ→「講座申し込み」をクリック(CV)
クッキーを使えば、こうした行動をたどることができるのです。
マーケターにとってクッキーは、解析の生命線でした。
しかし、今このクッキーが世界的に規制されようとしています。
クッキー規制の波
クッキーには2種類があります。
すでにサードパーティークッキーは主要ブラウザで制限され、事実上、利用できません。
さらに今、ファーストパーティークッキーにも規制の波が押し寄せています。

背景には、GDPR(EU)やCCPA(米国)といった世界的な個人情報保護強化の流れがあります。
これらの法規制の影響により、ファーストパーティークッキーであっても同意取得の厳格化が進み、
結果として「クッキー全般の制限」――「consent fatigue(同意疲れ)」が国際的な課題となっています。
主要先進国が次々と個人情報保護の強化に踏み出している以上、
この波は間違いなく日本にも押し寄せます。
今はまだ国内では法整備も議論も十分とは言えず、問題視する声も限られていますが、
時間の問題で同様の規制が日本のマーケティング環境にも及ぶでしょう。
皆さんは普段「クッキーを許可しますか?」というポップアップで“同意”を押しますか?
おそらく、押さないはずです。私も押しません。
実際、クッキーに同意するユーザーは全体の30%未満。
つまり、70%のユーザーの行動はもう見えないということです。
解析データの7割が欠落している――これこそが、現在のWEBマーケティングが直面している現実です。
「日本はまだ大丈夫」——そう思っていませんか?
実は、日本でも個人情報保護法の違反には厳しい罰則が設けられています。
違反が発覚すると、まず個人情報保護委員会から指導・勧告が入ります。
それでも改善されない場合は改善命令が出され、この命令に従わなかった場合、法人には最大1億円、個人には最大1,000万円の罰金が科される可能性があるのです。
さらに注目すべきは、個人情報保護法が3年ごとに見直されるという点です。
次回の見直しは2026年。EUのGDPRや米国のCCPAなど、海外の規制強化の流れを受けて、日本でもクッキー取得時の同意要件が厳格化される可能性は極めて高いと言えます。
つまり、今は「グレーゾーン」で済んでいる施策も、数年後には明確な違反として罰則対象になり得るということです。クライアントに説明できますか?「昔は問題なかったので…」では通用しない時代が、すぐそこまで来ています。
解析が「曖昧な数字」になる時代

Googleアナリティクスを開いても、そこにある数字が本当に“全体の姿”を映しているとは言い難い——
多くのマーケターはその事実に気づいています。
しかし、現状では明確な対処法がなく、クライアントに正直に伝えられないというのが実情です。
「これが限界です」と言えずに、欠けたデータをもとにレポートを作る。
その苦しさを、私たちも痛いほど味わってきました。
A/Bテストをしてもサンプルが足りず、統計的に意味のある結果が出ない。
広告のリターゲティング精度も下がり、CPAは右肩上がり。
マーケターの誰もが感じている「分析の手応えのなさ」は、データそのものの欠損に起因しているのです。
Uncook ― クッキーに依存しない解析技術
そこで私たちCyvateは、クッキーを一切使わずにユーザー行動を把握できる新手法「Uncook」を開発しました(特許出願中)。
Uncookは、WEBサイトに訪れたユーザーの行動を統計解析によって分析し、ユーザーの興味・関心・行動パターンを導き出します。
簡単に言えば、「ユーザーのあらゆる行動を統計的に読み解くことで、ユーザーを推定する」手法です。

実際には、ページ閲覧時間・スクロール速度・クリック位置・滞在パターンなど1532項目の膨大な行動データを多次元空間にマッピングし、
ベクトル(行動の向きと特徴量)近似値が閾値を超えた場合セッションを同一と推定してグルーピ……
おっと、ちょっと専門的になりすぎましたね。
要は、ユーザーの「動き方そのもの」を解析して、同一人物かどうかを高精度に見分けるという仕組みです。
クッキーのようにブラウザに情報を残すことなく、行動パターンそのものを鍵としてユーザーを理解する。
これが、クッキーに依存しない新しい解析のコア技術「Uncook」なのです。
クッキー解析との決定的な違い
来のクッキー解析では、「ユーザーAがこのページを見た」という点の情報しか取れませんでした。
Uncookは違います。
「ユーザーAがどこから来て、どのようなページ遷移を行い、どの要素に興味を示したのか」――線の情報、いや面の情報として把握できます。

たとえば、従来の解析では「このページの離脱率が高いな」で終わっていた部分が、
Uncookでは「実際にお問い合わせに至ったユーザーは、このページをよく見ている」というように、成果につながる行動構造まで見えるのです。
しかも、ユーザーの同意は不要。
ファーストパーティークッキーの制約を受けずに、すべてのユーザー行動を公平に分析できます。
そして何より、これまで可視化できなかったサイレントマジョリティの声を吸い上げることが可能になるのです。
クッキーに同意しなかった70%のユーザー――つまり、これまで統計の外にいた大多数の行動を、正しく理解できる。
その瞬間、マーケティング分析の前提そのものが変わります。
なぜ今、Uncookが必要なのか
最初、私たちも「クッキー規制なんて、なんとかなるだろう」と思っていました。
しかし、現実は甘くありませんでした。
現在、Googleアナリティクスをはじめとする主要なマーケティング分析ツール、そしてMetaやGoogle広告など主要広告チャネルのダッシュボードにも、クッキー制限を抜本的に回避する仕組みは存在しません。
誰もが同じ課題を抱え、暫定的な対応策を模索している状況なのです。

だからこそ、私たちはクッキーに依存しない仕組みをゼロから作り上げました。
2年以上かけて構築したUncookは、クッキー同意の壁を超えるための現実的なソリューションです。
Uncookで変わる、これからのWEB解析
Uncookがもたらす変化は、単なる「代替技術」ではありません。
それは、これまで“見えなかったユーザー”を含めた全体像を再構築する解析基盤です。
① 全ユーザーの行動を正確に把握できる

クッキー同意の有無に関係なく、サイトに訪れた全ユーザーの行動を統計的に捕捉します。
これまで30%しか見えなかった分析対象が、100%へ拡張されるイメージです。
“可視化できる母数”が増えることで、A/Bテストや広告の最適化も統計的に有効なレベルで実行できるようになります。
② 深層的なユーザーインサイトを導き出せる

従来のページビューや離脱率は「表面的な動き」に過ぎません。
Uncookは、ユーザーがどの部分に目を止め、どこで迷い、何をきっかけに行動を変えたのかを明らかにします。
たとえば「このページの離脱率が高い」ではなく、「購買に至るユーザーはこの段落を読む傾向がある」まで踏み込んだ洞察を得られる。
つまり、点ではなく行動の構造を理解できるのです。
③ プライバシーを守りながら分析できる

Uncookは、個人情報を一切扱いません。
データは匿名化された行動パターンのみで構成され、GDPRやCCPAなど各国のプライバシー法に完全準拠しています。
クッキー同意を求めることなく、公平に全ユーザーを解析できるため、規制リスクをゼロに近づけながら正確な意思決定が可能になります。
④ 「見えない70%」を味方につける

これまでの解析は、声を上げる少数派のデータでしか意思決定できませんでした。
Uncookは、クッキーに同意しなかった70%のユーザーの行動をも捉えます。
このデータが加わることで、解析結果は劇的に精度が向上します。
たとえば、「離脱している」と思っていたページが、実はコンバージョン前の必読ポイントだったことが分かるケースもあります。
Uncookは、これまで見えなかったユーザーの真実を浮かび上がらせるのです。
WEBマーケティングの未来は「データをどれだけ集めるか」ではなく、
「データをどれだけ正しく読み解けるか」にかかっています。
Uncookは、まさにそのための新しい武器になります。
クッキーに依存したまま、今後の対策をどうすればいいのか——
多くのマーケターがその問いに答えを見出せずにいます。
私たちは、その答えを「Uncook」という形で提示しました。
解析の未来は、クッキーの有無で決まらない。
本質は、ユーザーの行動をどれだけ深く理解できるかにあります。
WEBマーケティングの未来は、クッキーがなくても明るい。
Cyvateが、それを証明します。
